診断テストor数秘鑑定で脳内整理

INTJ(建築家)…?
この私が…? さっきまでベッドの上でポテチの袋を抱え、天井のシミを数えていたというのに?
ENFP(運動家)…?
人混みは嫌いだし、初対面の人と話すくらいなら、三日間断食したほうがマシなのに!
・・・。
ようこそ、同志よ。MBTI診断の結果に、己の存在そのものを揺るがされている、そこのあなた。わかります、その気持ち、痛いほど。まるでオーダーメイドのスーツを頼んだはずが、なぜか着ぐるみが届いた時のような、絶望とほんの少しの滑稽さ。
巷で「当たる!」と大流行のMBTI診断が、自分にだけはソッポを向いている。これは一体どういうことなのか? 私の性格は、この世の16パターンにすら収まらないほど奇妙奇天烈だというのか?
結論から言おう。
MBTI診断が当たらないと感じるのは、あなたが異常だからではない。むしろ、人間として至極まっとうな証拠だ。
この記事は、そんな「MBTI迷子」たちを救済し、診断結果という名の甘美な呪いを解き放ち、最終的にはMBTIを手玉に取って遊ぶための、不真面目かつ本質的な取扱説明書である。
巷の解説記事のように「さあ、自己分析の旅へ!」などと気取ったことは言わない。我々はただ、この奇妙な4文字のアルファベットと、どうすれば愉快に付き合えるのかを探求するだけだ。
まず大前提として、「MBTI診断が当たらない」と感じる現象は、ラーメン屋で「いつもの」を頼んだら、なぜかパフェが出てきた、くらいの不可解さを伴う。しかし、その原因はあなたの味覚がおかしいのではなく、店のメニュー構成そのものにあるのだ。この章では、その構造的な問題を解き明かす。
多くの人が勘違いしているが、MBTIは「あなたの性格はこれです」と断定する「診断(Diagnosis)」ではない。公式なMBTIは、あくまで自己理解を深めるための「指標(Indicator)」、つまりツール(道具)である。
あなたの心の使い方の「クセ」や「好み」を示すもので、能力や人格の優劣を決めるものでは断じてない。
例えるなら、利き腕のようなものだ。
右利きの人がほとんどの作業を右手で行うように、思考型(T)の人は論理的に判断することを「好み」、感情型(F)の人は人間関係を重視して判断することを「好む」。
しかし、右利きの人でも左手を使えるように、T型の人にも感情はあるし、F型の人も論理的に考えることができる。
MBTIは、あなたがどちらの手を「無意識に、より楽に」使う傾向があるかを示しているに過ぎない。
さらに言えば、MBTIはあなたの今の心の状態を測る「体温計」のような側面もある。ストレスが多い時期や、特定の環境下にいる時と、リラックスしている時では、結果が変わることがあるのは当然なのだ。
心理学には大きく分けて「類型論」と「特性論」という二つの考え方がある。これがまた、タケノコの里ときのこの山の派閥抗争くらい根深い。
MBTIは類型論なので、「INTJかENTPか」という二者択一で結果が出る。しかし、現実の人間は「内向的な面もあれば、外向的な面もある」というグラデーションの存在だ。
指標のスコアが51%と49%できわどい場合、少し気分が変わるだけで結果が逆に振れてしまう。これが「結果がコロコロ変わる」現象の正体である。
MBTIが当たらないと感じる原因は、ツールの問題だけでなく、我々の脳の「仕様」にもある。我々の脳は、驚くほど騙されやすく、そして思い込みが激しいのだ。
「あなたは、時々自分に自信がなくなることがありますね?」これは「バーナム効果」の典型例だ。
誰にでも当てはまるような曖昧な記述を、あたかも自分のことだけを的確に言い当てられたかのように感じてしまう心理現象である。
MBTIの各タイプの説明文には、このバーナム効果を誘発するような表現が散りばめられている。「当たっている」と感じる部分もあれば、「これは違う」と感じる部分があるのは当然なのだ。
一度「自分はINFP(仲介者)だ」という結果を受け取ると、無意識のうちに「自分の中のINFPっぽい部分」ばかりを探し始め、それに合致しない行動や感情は無視してしまう。これが「確証バイアス」だ。
まるで、好きな人ができたら、その人の良いところばかりが目についてしまう、恋は盲目状態と同じである。
質問に答える際、我々はつい「こうありたい自分」や「社会的に望ましいとされる自分」を演じてしまう傾向がある。
「計画的に物事を進めるか?」という質問に、本当はいつも締切ギリギリで生きているのに「はい」と答えてしまう、あの見栄っ張りな心が、正確な結果を遠ざけるのだ。
ここで私の個人的な体験を告白しよう。私はこれまで、無料のMBTI診断を受けるたびに、異なる結果を叩き出してきた。まさにMBTI界の輪廻転生である。
この迷走経験から得た結論は、「MBTIは、一生変わらない血液型占いではなく、日々変わりうる天気予報である」ということだ。
診断結果は、その時々のあなたの環境、精神状態、役割によって大きく変動する「心のスナップショット」に過ぎない。
「昨日は快晴(ESFP)だったけど、今日は曇り時々雨(INTP)だな」くらいに捉えるのが、精神衛生上もっとも健全な付き合い方なのである。
さて、「当たらない」理由が分かったところで、次に進もう。
「当たらない」と嘆くステージはもう終わりだ。ここからは、その事実を逆手にとって、いかに人生を面白くするかを考える、より高度な知的ゲームの始まりである。
「当たらない」と一言で言っても、その症状は様々だ。ここでは代表的な3つのパターンに対する、極めてポジティブ(かつ無責任)な処方箋を提示する。
診断するたびに結果が変わるあなた。おめでとう。あなたは状況に応じて最適なペルソナを使い分けることができる、極めて有能なカメレオン俳優だ。
これは多重人格などではなく、社会適応能力の高さの現れに他ならない。今日は内向的な学者、明日は外向的なリーダー。その多彩な役柄を存分に楽しんでくれたまえ。あなたの本質は「一つのタイプ」ではなく「すべてのタイプを演じうる可能性」そのものなのだ。
どのタイプの結果を見ても「うーん、これじゃない感」が拭えないあなた。
素晴らしい。あなたは既存の16の箱には収まりきらない、規格外の魂の持ち主だ。いわばニュータイプ。あなたのための分類は、まだこの地球に用意されていない。
あなたはあなたという、唯一無二のオリジナルタイプなのだ。胸を張って「私は、私タイプです」と宣言しよう。その謎めいた響きが、かえってあなたの魅力を増すだろう。
知的好奇心を満たすため、私は友人・知人10名(職業・年齢バラバラ)に某無料MBTI診断を受けてもらい、結果についてインタビューするという狂気の実験を敢行した。
この実験で分かったのは、MBTIは「自己紹介」ツールとしてよりも、むしろ「他己紹介」のきっかけとして使うと、とてつもなく面白いということだ。
「え、お前ってそんな一面あったの?」という発見の宝庫であり、互いの多面性を理解する潤滑油になり得る。
自分の結果に悩むより、他人の結果を見てゲラゲラ笑う。それが最も平和な活用法かもしれない。
結論から言うと、MBTIの結果だけで採用の合否を決めるのは、極めて危険であり、倫理的にも問題がある。「一般社団法人 日本MBTI協会」も、採用選考への利用には明確に警鐘を鳴らしている。
個人の持つ無限の可能性を、たった4文字のアルファベットで制限するのは、機会損失以外の何物でもない。
もし面接で「あなたのMBTIは?」と聞かれたら、「状況によって変わりますが、〇〇な側面が強いです」と、この記事で得た知識を元に、したたかに答えよう。
では最後に、この当てにならないようで、どこか魅力的なMBTIと、今後どう付き合っていくべきか。その具体的かつ、ふざけた実践ガイドを授けよう。もはやこれは診断ではなく、あなたが自由に遊ぶための「知的おもちゃ」なのだ。
結果が「I(内向)」と出ても、「はい、私は内向型です」で思考停止してはいけない。自分の中に「内向と外向の目盛り」があると考え、今はどのあたりを指しているかを客観視するのだ。
このようにパーセンテージで捉えることで、「私は100%内向型ではない」という当たり前の事実に気づき、自己理解がより立体的になる。
MBTIには「劣等機能」という概念がある。これは各タイプが最も苦手とし、無意識に避けてしまう心の機能のことだ。例えば、INTP(論理学者)にとっての劣等機能はFe(外向感情)、つまり「場の空気を読んだり、他人の感情に配慮したりすること」だ。
これを「欠点」と捉えるのは三流だ。
一流はこれを「今後の人生における最高の遊び(クエスト)」と捉える。「よし、今日は劣等機能を鍛えるために、あえて飲み会の幹事をやってみよう。失敗したら? ネタにすればいいだけだ」くらいの気概で挑むことで、人生はもっと面白くなる。
もし、超絶ヒマな億万長者が道楽でこんな実験をしたら、どうなるだろうか。ここに架空のログを記す。
この実験(という名の奇行)から得られるであろう結論は、「どのタイプにも素晴らしい強みと、致命的な弱点がある。そして、我々の心の中には、これら16人全員が同居している」という真実だ。
状況に応じて、必要な人格をダウンロードしてくるような感覚。これこそが、MBTIを使いこなす究極の境地なのかもしれない。
MBTIは自己探求の入り口としては面白いが、終着点ではない。もっと深く、あるいは違う角度から自分を知りたくなったら、これらのツールも試してみるといい。
この記事で我々がたどり着いた、身も蓋もない結論をまとめよう。
結局のところ、我々は16の箱に収まるほど単純な存在ではないのだ。MBTIという羅針盤は、常に北を指すとは限らない。時には南を指し、時にはグルグルと狂ったように回り出す。その不確かさ、その曖昧さこそが、人間の面白さそのものなのだろう。
胸を張って宣言しよう。「私のMBTIは、当たらない。だから、面白いのだ」と。
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